食品ロスは、持続可能な未来を目指す上で避けて通れない重要な課題です。小売業界にも、食品ロスを削減する対策が求められています。当ブログ「賞味期限管理Labs」では、賞味期限管理の最適化とともに、食品ロスを効果的に削減するための実践的な方法を探求しています。今回は、小売店がすぐに取り組める10の具体策を紹介します。これらの方法を実施することで、環境への影響を軽減し、ビジネスの効率を高めることができます。ぜひ、皆様の店舗運営に役立ててください。

2024年11月28日 チーム|賞味期限管理Labs|


なお株式会社スコープでは、有効期限が切れそうな商品を特定すると同時に、担当者に対して廃棄を防ぐためのアクションを促す食品ロス削減アプリ「Semafor(セマフォー)」を提供しています。このアプリは、食品廃棄物を4年間で86%削減した実績のある店舗でも核となるソリューションとして利用されています。
スーパーの食品廃棄物の削減に有効なセマフォーの詳細は、下記からサービス資料を無料ダウンロードしてご確認ください。

~目次~

  1. 食品ロスはスーパーでどのくらい発生する?環境・経済への影響も
  2. スーパーで食品ロスが発生する主な原因4つ
  3. 食品ロス問題におけるスーパーの取り組み事例 10選
  4. 賞味期限を管理するならSemafor(セマフォー)がおすすめ
  5. 自社にあった方法で食品ロスを削減しよう

SDGsの目標の一つに「飢餓ゼロ」があるように、食品ロス(フードロス)の問題は世界規模で大きな問題とされています。地球上で暮らす約80億人のうち3分の1程度が食糧不足に直面している状況下で、日々多くの食糧が廃棄されているのが現状です。    

参照:SDGs CLUB/公益財団法人日本ユニセフ協会

ここでは日本の食品ロスの現状や、それによって発生する問題を解説します。

〇 食品ロスとは?

食品ロスとは、食べ残しや賞味期限切れなどさまざまな理由で、本来食べられるのに廃棄される食品のことです。食品ロスの中でも、事業の過程で発生する「事業系食品ロス」と、家庭で発生する「家庭系食品ロス」の2つに分けることができます。

〇 日本の食品ロスの現状。約半分が事業系の食品ロス

農林水産省及び環境省「2022年度推計」によると、2022年の日本全体での食品ロスは推計年間472万トン。そのうち約半数が、食品製造業・外食産業をはじめとした食品事業者関連で廃棄されており、合計236万トンにものぼります。
なかでもスーパー・コンビニなどの食品小売業が排出するのは49万トンほど。日本全体でみても大きな数値を占めているため、各企業が食品ロス問題に取り組むことが求められています。

出典:「食品ロス削減ガイドブック」(令和6年度版) 消費者庁

〇 食品ロスにより発生する問題

食品ロスは、環境・経済・社会の各側面に下記のような影響を及ぼします。

環境
  • 廃棄物の運搬や焼却時に大量のCO2を排出し、地球温暖化を助長する
  • 気候変動は農業生産に悪影響を与え、食料不足をさらに悪化させる
経済
  • 食品の生産から流通に使われたエネルギーやコストの無駄が発生する
  • 食品を処分するのにもコストがかかる
  • 本来ほかのことに使える税金や労働力・時間が、廃棄処分に使われる
社会
  • 食料不足が発生している状況下で、食糧の約5分の1が捨てられている
  • 本来、食糧不足対策に使えるエネルギーやコストを無駄にしている

スーパーで食品ロスが発生する主な原因として、下記の4つが挙げられます。
【原因1】消費者の行動パターン
【原因2】3分の1ルール
【原因3】過剰発注による売れ残り
【原因4】配送中の破損
各項目を詳しく説明します。

【原因1】消費者の行動パターン

消費者がとりがちな行動パターンにより、下記のような問題が発生します。

対策としては、消費者に理解を呼びかけ多少の不便を許容してもらう方法があります。それだけでなく、店舗側も商品の販売量を調整したり、閉店時には売り切れるように適切にディスカウントを実施したりと工夫が必要です。

【原因2】3分の1ルール

3分の1ルールとは、食品の製造日から賞味期限までの期間を3等分し、最初の3分の1以内に小売店への納品を完了しなければならないという商慣習のことを指します。
消費者に新鮮な食品を提供する目的で根付いたルールですが、賞味期限まで十分な期間がある食品が廃棄される原因になるため近年課題となっています。2017年度の返品食品総額は562億円にのぼりました。

最近では、大手食品スーパーを中心に商慣習の見直しが進行しつつあります。業界全体でのルール緩和に向けて、引き続き企業側の取り組みが必要となるでしょう。

商慣習の見直し 出典:「食品ロス削減ガイドブック」(令和6年度版) 消費者庁

【原因3】過剰発注による売れ残り

過剰に発注した商品が売れ残ることによる大量廃棄も問題となっています。特に、恵方巻きやクリスマスケーキといったイベント関連の食品や季節商品は、過剰発注になりやすいため注意が必要です。

対策としては、過去の販売データをもとに、天気や曜日などさまざまな条件を考慮した精緻な売上予測を立てる必要があります。また、商品ごとの適正在庫量の設定や、発注から販売までの一元管理化など在庫管理システムの整備も有効です。

【原因4】配送中の破損

配送中に発生する、商品やパッケージの破損も食品ロスの一因です。輸送中の振動や衝撃、温度管理や積載方法など、輸送中のさまざまな要因で破損が発生します。

対策として、商品ごとの特性に合う梱包材や、十分な量の緩衝材を使用するようにしましょう。荷物の向きや積載方法を細かく指示したり、破損リスクに関して情報を共有したりと、配送業者との連携を強める必要もあります。

ここからは食品ロス問題解決に向けて、スーパーで実施されている取り組み事例を紹介します。

【事例1】値引き販売で売り切る
【事例2】パッケージを工夫する
【事例3】「てまえどり」の推進・陳列の工夫をする
【事例4】食品ロス削減に関する啓発活動を行う
【事例5】「3分の1ルール」の緩和を検討する
【事例6】季節商品は予約販売を行う
【事例7】規格外商品も販売する
【事例8】フードバンク・子ども食堂への寄付を行う
【事例9】食品リサイクルを推進する
【事例10】精度の高い商品管理システムを導入す

【事例1】値引き販売で売り切る

値引き販売は、多くのスーパーで実施されている方法です。賞味期限が近い商品を値引きして、売れ残りのないよう販売する取り組みを指します。
また、商品価格を需要と供給の状況に合わせて変動させる「ダイナミックプライシング(動的価格設定)」も注目されています。過去の販売実績データなどのビッグデータをAIが分析。鮮度の高い商品は高く、鮮度の低い商品は安く提供するなど、食品ロス対策に活用できます。

【事例2】パッケージを工夫する

顧客ニーズにフィットするように、少量パックや小分け商品の提供を行う取り組みです。販売後に、少人数の家庭で余らせてしまう食品を減らす効果も期待できます。

【スーパーマーケットS社の事例】
 店内でカットした商品や半調理品、食べ切り商品などを販売
(キャベツであれば、丸ごと・店内で1/2カット・1/4カット・ざく切りなど)

【事例3】「てまえどり」の推進・陳列の工夫をする

賞味期限が近いものを前列に陳列し、消費者に対して賞味期限が近い手前の商品から買ってもらうよう促す取り組みです。同時に、必要なぶんだけ店頭に並べるといった陳列の工夫や、食品の保存方法・使い切りレシピの提案を行うのも有効です。

【スーパーマーケットL社の事例:てまえどり】
 店内POPなどで、すぐに使うものであれば手前から取っていただくようにお客様に呼びかける活動を展開

【事例4】食品ロス削減に関する啓発活動を行う

ポスターや店内POP、企業横断のキャンペーン参加により、食品ロス対策の啓発活動を行う店舗もあります。企業と消費者が一緒に取り組んでいく雰囲気を醸成できると良いでしょう。店舗近隣の教育機関と連携し、食育授業を行うケースも。企業イメージの向上にもつながる取り組みといえます。

【もぐもぐチャレンジ】
 全国のスーパー約300店舗で実施されている、食品ロス削減プログラム。
 対象のスーパーで賞味期限・消費期限が迫った商品に貼られたシールを集めることで、
 寄付や抽選に参加できる。消費者が気軽に食品ロスの削減に貢献できる企画として注目されている。
 参考:もぐもぐチャレンジ

【スーパーマーケットL社の事例:食品ロスの学習機会の提供】
 店舗の近隣小学校を対象に、従業員がゲストティーチャーとして出前授業を実施。
 環境問題・食品ロスについて学べる体験学習の機会を提供。

【事例5】「3分の1ルール」の緩和を検討する

食品の製造日から賞味期限までの期間を3等分し、最初の3分の1以内に小売店への納品を完了しなければならないという従来の商慣行「3分の1ルール」を「2分の1ルール」に緩和する取り組みです。

【スーパーマーケットY社の事例・販売期限の緩和】
 納品期限・販売期限を従来よりも後ろ倒しに変更。
 物流センター内での廃棄食品の削減、撤去作業や商品返品作業の減少などに効果あり。

【事例6】季節商品は予約販売を行う

クリスマスケーキや、節分の恵方巻きなどの季節商品で、予約販売や個数限定販売を行う企業もあります。販売数を制限することで、製造や販売にかかるコストの最適化も図れるでしょう。

【事例7】規格外商品も販売する

味に問題はないのに、見た目やサイズの問題で廃棄される食品をあえて販売する手法です。環境保護の意識から、好意的にとらえる消費者もいます。

【スーパーマーケットS社の事例:不揃い野菜の活用】
 小さなキズや型・サイズの基準未達でそのまま販売しにくい野菜をまとめて仕入れ、
「不揃い野菜」として販売。店内で手作りするサラダや総菜の原料に活用するケースも。

【スーパーマーケットI社の事例:PB商品でアップサイクルを活用】
 PB商品において、サプライチェーン全体で食品廃棄物・ロスを削減する商品開発を実施 
(本来捨てられる親芋をアップサイクルした「冷製親里芋のポタージュ」など)

【事例8】フードバンク・子ども食堂への寄付を行う

店頭では売れなくなった賞味期限前の商品を、フードバンク(※)や子ども食堂(※)といった福祉活動に寄付をする活動です。まだ食べられる食品を必要な人に届けることができるうえに、企業イメージの向上も期待できます。
 ※フードバンク:まだ食べられるにもかかわらず廃棄されてしまう食品を引き取り、児童養護施設やホームレス支援団体などに無料で提供する団体のこと
 ※子ども食堂:地域住民などによって、無料または低価格で栄養のある食事や温かな団らんを子どもたちに提供する活動のこと

【スーパーマーケットI社の事例:フードバンク団体への寄付】
 一部の店舗から出る賞味期限前の商品をフードバンク団体へ寄付

【スーパーマーケットL社の事例:地域の子ども食堂への寄付】
 販売期限切れの商品やパッケージの破損などで販売できなくなった生活用品を、地域の子ども食堂へ寄付

【事例9】食品リサイクルを推進する

発生してしまった食品廃棄物を家畜の飼料に加工したり、堆肥化(コンポスト)して農業用に再利用したりする取り組みです。自社農園や農場で、加工したリサイクル飼料や肥料を活用する企業もあります。

【スーパーマーケットI社の事例:生ごみ処理機の導入】
 微生物の働きを利用した生ごみ処理機を店舗に導入。 
 敷地内で生ごみを減容することで、収集運搬などで発生するCO2排出量の低減を図る。

【事例10】精度の高い商品管理システムを導入する

売上データや消費者の購買傾向をAIで分析し、最適な仕入れを目指す取り組みです。さらに在庫管理、賞味期限管理の各種システムを導入することで、効率的に商品の管理ができるようになります。

【スーパーマーケットI社の事例:AIを活用した発注管理・価格設定】
 精度の高い客数予測や販売実績や天候・客数などの条件を学習したAIを活用し、発注精度の向上や最適価格設定に努めている。

【Coop Visby店(スウェーデン):食品ロス削減アプリの導入】
 食品ロス削減アプリ「Semafor(セマフォー)」を導入。
 様々な施策も行い、2018年に120トンあった食品ロスを、導入後2022年に6トンまで削減。
 関連記事: 食品廃棄物ゼロへ ~スウェーデンCoop Visbyの挑戦~
 関連記事: 食品廃棄物ゼロへ!Stora Coop Visbyの飽くなき追及

食品ロスに問題意識を持ちつつも、商品の有効期限チェックに膨大な時間と労力がかかり「食品ロス対策に取り組む余裕がない」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

商品の賞味期限から食品(廃棄)ロスまでを一括管理するなら、当社のデジタルツール「Semafor(セマフォー)」がおすすめです。最後に、「Semafor(セマフォー)」の特長をご紹介します。

【特長1】日付チェックの作業量を大幅に削減

販売期限が切れる対象商品をアプリが警告。対応が必要な商品だけをリストアップするので、無駄なチェックが無くなり、作業期間を大幅に削減します。定期的な全商品のチェック作業の必要もなくなります。

「Semafor(セマフォー)」では、システムの導入後に作業時間を88%削減できた事例もあります。セマフォーの導入事例を詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
【関連記事】Semaforsの評価をご紹介

【特長2】“売り切る”ためのプロモーションを管理

販売期限切れまでの日数に応じて、3色の信号でアラームを表示します。余裕をもって計画的に、売り切るための値引き販売を実施することで、売れ残り(廃棄ロス)を削減することができます。

【特長3】効率的な日付管理と、高度な品質管理のクオリティ

陳列棚に並ぶ商品のうち、最も賞味期限が早いものを管理する仕組みを採用しています。効率的かつ確実な日付管理が可能です。

【特長4】食品ロス削減に向けた分析データを提供

各店舗のSemafor(セマフォー)使用状況を可視化できる管理・分析ツール「Analytics」がご利用いただけできます。
各店の賞味期限のチェック状況が把握できるとともに、廃棄や割引販売になりやすい商品、在庫切れ頻度が高い商品などのデータを提示できるため、発注計画に役立ちます。

食品ロス問題は世界的な課題であり、その関心はますます高まっています。食品小売業界でも、消費者への理解を促すと同時に、各企業での具体的な対策が求められています。現在、小売店での対策ツールの選択肢も広がっており、各チェーンのニーズに応じた導入が可能です。

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