前回ご紹介した「食品廃棄物ゼロへ!」のブログに対して、Stora Coop,Visbyのことをもっと知りたい!とのお声掛けをいただきました。我々が提供するソリューションは、業務改善や品質管理の精度アップの面で注目が高まっていますが、本来の開発コンセプトである「食品廃棄物の削減」に関心を寄せていただけたことをうれしく思っています。そこで今回は、我々のソリューションとStora Coop,Visbyが関わってきた経緯についてお話をさせていただきます。
2022年4月25日 Whywaste Japan シニアオフィサー 小川 訓昌
■Whywasteとの出会い
「持続可能性」に関しては、Stora Coop,Visbyが最先端な店舗であることは間違いありません。 食品廃棄物を削減する彼らの方法は、競合他社のほとんどをはるかに超えています。それを証明するように、彼らはサステビリティに関する多くの賞を受賞しており、名誉ある称号を得ています。 この店はスウェーデン最大の島であるゴットランド島にあり、従業員は約100人です。
2017年、新しく赴任したマーカス店長は、長期的な「持続可能性プロジェクト」を開始しました。 自然エネルギー、エコ商品、そして、Co2やプラスチック問題等々、すべきことは山積みの状態の中、食品廃棄物削減への取り組みにおける大きな転機は、Visbyでのビジネスセミナーで、Whywaste社の創設者であるマーチンとクリストファーとの出会いです。 彼は、私たちのソリューションが自分の店にとってどのようなゲームチェンジャーになるかをすぐに理解しました。 関係は急速に深まり、「食品廃棄物ゼロ」への挑戦が始まったのです。
■当時の重点課題
Whywasteを使用する前は、Stora Coop,Visbyの日付チェックのルーチン業務は”手動”でした。 それは時間がかかり、率直に言って、退屈な作業でした。 それはまた、財政面で持続可能性の目標を達成することを困難にしていました。 新しい働き方が必要であることは明らかでした。当時、特に問題視していたのは次の3点です。
◎日付の確認に時間がかかりすぎる
◎リスクのあるアイテムを早期に特定するのが難しい ➡ 廃棄を回避する対策が打ちづらい
◎直感による発注 ➡ 廃棄ロスのデータに基づいた仕入れができない
これらの課題解決策として、マーカス店長は、食品ロス削減アプリ『Semafor(セマフォー)』の導入を選択したのです。
■Semaforの機能とは?
Semafor(セマフォー)を使用することで、店舗スタッフは、期限切れになるリスクのある商品を容易に管理できるようになります。 アプリ内には、ストアレイアウトのデジタルコピーを登録しておきます。 それは、スタッフのルーチン業務との互換性を非常に高めます。自然なルートで日付チェックができるので、スタッフは商品を見つけるために行ったり来たりする必要がありません。レイアウトの変更は簡単なので、売場の変更にも対応できます。 そして、商品が廃棄ロスにつながるリスクがある場合、スタッフは割引シールを貼ることで廃棄から商品を救済します。プロモーション(売り切る施策)までをSemaforは管理することができるのです。
また、Semaforは、分析ツール「Aspekt(アスペクト)」の機能で、食品廃棄物に関する参考データを提供します。これにより、直感ではなく、データに基づいた品揃えや購入量をカスタマイズすることができます。このような正確なデータを使用することにより、店舗は食品廃棄物を削減するための予防措置を講じることができるのです。
■Semaforを正式導入
Stora Coop,VisbyでのSemaforの導入に際して、Whywasteチームはフォローするために待機していました。しかし、システムが稼働すると、彼らはあまり助けを必要としませんでした。ソリューションは、直感的でユーザーフレンドリーになるように開発されています。これにより、新しいスタッフがすばやく効率的に学習して使用できるようになります。
■創意と工夫で食品廃棄物を削減
マーカス店長は、Semaforを日常のルーチン業務に取り入れると同時に、食品廃棄物を削減するために様々なアイデアを実行に移し続けました。その一例をご紹介します。
◎不完全な果物や野菜は割引価格で販売。
◎残ったバナナは地元のアイスクリームメーカーで加工して販売。
◎毎週月曜日、残りの魚は新しい配達が来る前に競売にかける。
◎バゲットはガーリックブレッドに変わり、他の白パンはパン粉として新しい生活を送らせる。
◎粉ミルクやオーツ麦などの製品は、地元の蒸留所でお酒として生まれ変わる。
※酒「スピル」は、商品をさらに価値のあるものにアップサイクルする方法の完璧な例。
◎残った食品廃棄物を肥料に変える。
※彼らはそれを販売するだけでなく、彼らの屋上庭園にもそれを使用しています。 カビの生えたオレンジ、熟れすぎたリンゴ、または期限切れの鶏肉はすべてコンポストの機械に入れられます。
■4年間で食品廃棄物の86%を削減
Stora Coop,Visbyは、2018年から2021年までの4年間で食品廃棄物の86%の削減を成し遂げました。マーカス店長はじめ、店舗スタッフのみなさんの熱い情熱とひたむきな取り組みには、ただただ敬服するばかりです。